セネガル戦の後、本田選手はコロンビア戦より良い試合だったと振り返りました。

勝ったコロンビア戦より、引き分けたセネガル戦のほうが良かったとは、どういうことでしょうか?

実際にセネガル戦は、ここ近年の代表の試合の中では一番良い試合だったと思います。さらに言えば、目が一瞬も離せない試合、または観ている人たちの心を感動させた試合だったと言えます。

では、この試合がどうしてそう見えたのでしょうか?

体力面で絶対的な強さがある相手、またほとんどの選手がヨーロッパ主要リーグで活躍し、日本選手よりも実績のあるセネガル選手たちに対して、恐れることなく、またなめることもなく、相手の良さを消して、自分たちの良さを出そうと落ち着いて試合をコントロールできていたと思います。

点を入れられてもミスがあっても興奮したり、落胆したりすることもなく、坦々と次にやるべきことをこなし、プロの技をみることができました。

特に本田選手が2点目を入れたシーンですが、最初のクロスも乾からの折り返しも普通なら相手GKがクリアしているでしょうが、岡崎選手がゴール前で3秒間に2度つぶれて同点弾のアシストをしました。これこそ、岡崎選手がチームに必要な選手だという証でしょう。

また、前回のW杯との大きな違いは試合をこなす度にチームがたくましく成長していることではないでしょうか?

 ところで、以前卒業後に成長していった選手たちの紹介をしました。では、伸びる選手いわゆる成長し続ける選手たちとそうでない選手の違いは何でしょうか?もちろん、小学生時から県トレやナショトレに選ばれてそのまま伸びていった選手もいますが、そうでない選手のほうが多いのが現実です。30年間指導してきた中で、成長し続ける選手には、共通して三つの要素をもっていることに気づきました。

まず、一つ目は「人の話をまっすぐな心で聞くことができる素直さ」です。

二つ目は「努力を継続して行うことが苦にならないまじめさ」です。

最後に「誰とでも物怖じせず接することができる明るさ」です。

伸びていった選手、成長し続ける選手たち全てに間違いなく共通していた要素はこの三つです。

過去指導した選手の中には、年代別の代表になった選手たちも数人いましたが、残念ながらその選手たちは様々な事情でプロのサッカー選手にはなりませんでした。

プロをなっていった選手たちは、弱い学年のチームにいても、守備から攻撃までフィールド上を駆け回ったり、体をはったプレイで仲間を鼓舞したり、最初から最後まで全力でサッカーに取り組んでいた選手たちでした。

指導者や保護者たちが試合に負けても感動して涙が自然と流れるようなプレイをする奴らでした。やはり、自分だけがカッコいいゴールを決めて目立つことで満足している選手では、スタンドにお客は呼べません。サポーターあってのプロスポーツです。仲間のため、サポーターのために自己を犠牲にしてでも、最後まであきらめない姿がないチームのスタンドには、お金を払ってまでお客さんが来るでしょうか?

昨年、たまたま行った遠征先で30代後半を過ぎてもプロの道に身をおく教え子に20年ぶりに会いました。

その選手は私のことを見てすぐに気づきました。また、サッカーをしているその選手は指導した小学生のときとほとんど変わらない顔つきでした。こいつは本当にサッカーが好きだったんだなぁ。俺よりも本当にサッカーが好きなんだ。負けた!と思わされました。サッカーを続けていたら、本当に何が起こるかわかりません。でも、そんないろんなことを含めたのがサッカーの魅力だと思います。だからこそ、サッカーに人生をかけることができるのでしょう。

「あなたは、サッカーが好きですか?」

「何でサッカーをしているのですか? 」 

「サッカーをすることが、あなたの未来へどうつながりますか?」
「試合に勝つことだけやレギュラーでプレーすることだけが、あなたの目標なのですか?」

「本当にサッカーが好きなのですか?」 

「じぶんがうまくなるためのチャレンジはしていますか?」

「あなたは、本当にサッカーが好きですか?」

どこかで、聞いたフレーズですね。

思い出してください。初めてサッカーと出会ったときのことを。