攻撃のときは、いつのまにか3人の相手選手たちの三角形の頂点にたち、相手のマークを惑わせる。

守備のときも、相手の見えない場所にトコトコと歩いて動き、ボールが入ると効率的に奪えている。

イニエスタにボールが入ると、相手は誰が寄せにくべきか、一瞬戸惑う。

3人で寄せようとすると、ワンタッチではたいたり、180度、向きを変えたりしてよりよい状況にいる選手を使う。

神戸は、チームとして必ずONの選手を使い、ONの選手におさまると、裏を狙い、ダメなら斜めの位置の足元で体を開いてONの状況を、つくり続ける。

まるでバルサのようである。でも、大分はそれがわかっているように、アトレチコのごとく、3分の2コートにボールが、入るまでプレスはかけない。裏に蹴られたボールは、GKが読んでいる。
そんな大分の対応に対してイニエスタは、FWにここに走りなさいというような、優しく導くようなソフトなパスを出す。

そして、大分がソフトパスに慣れてきたと思うと、ドリブルでしかける。

その仕掛けかたは、メッシやロナウド、ネイマール、ロッペンのようなスピードを生かした巧みなステップではなく、常に相手の状況をみながら、ボールの置き所で勝負する大人対小学生の1対1のようである。

倒されても、ボールは相手の足の届かない所におき続け、抜け出したら、3枚の相手選手を引き付けながら、味方にシュートを打たせるパスを出す。
大分には、イニエスタはいなかった。それだけだった。他の選手たちは、フリーでONの
準備をしている選手がいるにもかかわらず、ボールをひっかけていた。
イニエスタは、まさに小学生の試合のなかにサッカー経験のあるオッサンが、入って
いるような状況だった。(疲れることはせず、ここぞというとこだけ、泥臭く動く。)
しかし、大分は、湘南かと思うくらいあきらめず、ボールをよく追う。神戸守備のミスが3つ続き、大分が同点に追いついた。やはり、サッカーは何があるかわからない。
後半のイニエスタは、味方からのパスが1メートルずれて奪われても追わない。いや、もう追えない。

全盛期のイニエスタをリーガエスペニョーラやチャンピオンリーグで生で見たかった。

多分、一番のサッカーの教科書になるだろう。

今は、プロフェッショナルファウルもする老練な戦士である。

今日は、新ルールのゴールキックのやり方が見られて良かった。

また、最近はスリーバックの攻撃型の布陣をしくチームが増え、GKがバックラインと同じ高さに上がり、組み立てを行っているシーンも多くあった。

また、時より両チームのGKとも、ペナルティエリアから、前にでているシーンもあった。

うちのGKも見習って欲しい。